高田崇史「QED - 白山の頻闇」QED最新作を読んだ感想。

読みました。

QED最新作です。(といっても、発売からだいぶ経ってしまっていますが。。。)

QED ~ortus~白山の頻闇 (講談社ノベルス) 新書 – 2017/11/8
高田 崇史  (著)


QEDシリーズは、一応、完結しているのですが、なぜかその後も発売されていますね。

ただ、祟と奈々のやりとりは好きなので、発売されると嬉しいです。

そして、祟の語る「ウンチク」も毎回毎回楽しみにしています。




さて、今回は1冊で2本立てになっています。
・白山の頻闇
・江戸の弥生闇

白山~のほうが中編、江戸~のほうは短編、ぐらいのボリュームです。



さて、まずは白山~のほうですが、今作のテーマは「白山ー白山比咩大神」、言い換えると「菊理媛神、伊弉冉尊、伊奘諾尊」です。


菊理媛神 ー 古事記には登場せず、日本書記に一度だけ登場する、謎の多い神です。

しかも、「何事かを口にして去っていた」という、これまた謎の描写。


裏テーマとしては、「白」から発展して、「差別・部落」や「穢れ・不浄」。



展開は、そう、いつものお約束通り進みます。

「奈々くんの行く所、常に事件ありだな」

ただ、今回はさすがに現実世界の殺人事件がちょっと無理やりすぎかな?という感じはしました。

とはいえ、あいかわらず、歴史・民俗のウンチクは楽しめました。

「白」、「オシラ様」、「イタコ」、「被差別部落」、「エタ」、「ウェッタ族」、「獅子舞」、「天皇」、「天照大神」まど、話があちこちと展開されていきます。



以前の作品で展開されていた「天照大神」=「怨霊」にも綺麗に繋がるあたり、さすがと思いました。







もうもうひつつの「江戸~」ですが、こちらは、祟と奈々の時代がちょっと遡り(以前にもこのパターンはありましたね)、奈々が大学に入学して、オカルト研究会に入部するところでした。

祟と奈々がまだ出会ったばかりの頃のエピソードで、なんだかとても微笑ましく読めました。


さて、こちらのテーマは、江戸「吉原」。ただ、一般にイメージする優雅な内容ではなく、さすがそこはQED、ちょっと哀しい「遊女」の現実、が描かれていました。


「元吉原」に関して、「葦(あし)」がたくさん茂っていたので「葦原」と呼ばれていたのを、「あし」は「悪し」に通じるということで、縁起を担いで「葦」を「吉(よし)」と置き換えて「吉原」という名称にした、とありました。

このような置換の他の例として、「するめ」を「あたりめ」、「終わり」を「お開き」なども紹介されていて、「そういえばそうだ」と思いました。

他にも「あがり」や、「冷やかす」なども、吉原生まれだったんですね。

あとは「かごめかごめ」の歌に秘められた哀しい物語など。これは以前読んだような記憶あったけど。

普段生活しているとあまり意識しないで使っている言葉ですが、こんな背景があったなんて驚きました。




そうそう、江戸の明暦の大火の犯人の可能性の一つと描かれていた「有賀籐五郎(ありがとうごろう)」って、江戸時代の人も違和感なかったのだろうか?



最後に、個人的には、「白山~」より「江戸~」のほうが好みでした。ただ、ちょっと哀しい物語ですね。


さて、次にQED新作を読めるのはいつになるのかな?


おしまい。

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