高田崇史「卑弥呼の葬祭」を読んだ感想。「良質の古代史ミステリー」

卑弥呼って、高田崇史の他シリーズ(QEDとか)での登場回数は少ないし、それに今回は古代史がメインなので、期待しながら読みました。

邪馬台国、天岩戸、宇佐神宮――古代史の謎が一つに繫がった時、連続殺人の真相が明らかになる。宮崎・高千穂の夜神楽の最中、男性の首なし死体が発見された。大分の宇佐神宮では、御霊水の三つの井戸に、女性の首と両手が――。その折も折、萬願寺響子の従弟・漣が、「邪馬台国と卑弥呼の調査に行く」と言い残して行方不明に。続発する怪事件の解決には、日本史の根幹を逆転させる発想が必要だった。長編古代史ミステリー。(Amazon内容紹介より)


萬願寺響子が登場する作品としては、3作目になると思うけど、2作目の「七夕ー」は、どちらかというと「毒草子シリーズ(御名形史紋)」だと思うので、個人的には、今回の「卑弥呼ー」は「萬願寺シリーズ」の2作目という扱いになるかと思っています。

ちなみに過去の2作品はこちら。





そういうわけで、今回も新潮社です。

しかーし、なんと今回は「あの」QEDの桑原崇が大活躍です。

しかもこんなかっこいいセリフまで言ってしまって。

「鳴上漣くんのことだろう」
「どうしてそれを?」
「俺も、彼から連絡を受けていたからね。」
「・・・あなたは、漣の知り合い?それとも警察の方ですか」
「いいや。単なる薬剤師だ。」
「・・・お名前は」
「桑原崇」







さて内容ですが、まずひとつ。

萬願寺響子と同じく、私も「魏志倭人伝」はそういう一冊の本があるものと今まで思っていました。

しかし、ある書物の中に収録されている資料で、わずか2000文字程度の文章だったは驚きです。


あとは、「天岩戸伝説」は日蝕からはじまり、「天照大神=???」や「天照=???」、「台与=???」、また神楽の解釈、そして虐げられた隼人、などいつもの薀蓄が続きます。

一部の解釈については、過去のQEDシリーズ、特に「伊勢の曙光」でも述べられていたことも多かった印象。

ただ、今回は、卑弥呼、そして、朝廷側に葬られた民族が主に描かれていて、過去作品とはまた違って視点で楽しめた。


事件もいつものごとく起こりますが、まあそこはお約束といったところです。


そして、今回は、最後の桑原崇の言葉が印象的でした。

「だからこそ、天皇家が重要なんです。
 日本の国に、なくてはならない存在なんだ。
 ーーー
 霊祀り・霊鎮めの家として。
 ーーー
 本当にきちんと祀ることができるのは、天皇家なんです。」


うまくまとめられたものだと思います。


最後に、小ネタですが、目次の各章の読み仮名を一文字づつ拾って読むと。。。「あまてらす」になります。
わざわざ丁寧に読み仮名をふってあるので、ちょっと簡単ですが。



萬願寺シリーズ、早く続きが読みたいですねー。





最後に、参考文献の中から気になった文献をいくつかメモ。





おしまい。



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