[かがくのとも] 2017年12月号「シロナガスクジラ」感想。一緒に旅をしている気分。





「シロナガスクジラ」

加藤 秀弘 文
大片 忠明 絵


先日、「ちいさなかがくのとも」12月号の「うしさんぎゅうにゅうくださいな」を紹介したが、今月は(今月もか?)「かがくのとも」も面白そうだったので、こちらも買ってあるので、紹介していきた。


まず、以下は福音館書店の紹介より。

地球史上最大の動物、シロナガスクジラ。その生態は地球規模の旅をしなければ子孫を残せない宿命にあります。妊娠中のメスは餌の豊富な冷たい海で夏を過ごしますが、その海に居続けると産まれてくる子どもは海の冷たさに耐えられません。そこで、暖かい海で出産と育児をするために旅にでます。しかし、冷たい海を離れると餌のオキアミがいません……大丈夫なのでしょうか!? 旅の様子を臨場感たっぷりにご紹介。


そう。今月号の「シロナガスクジラ」は世界最大、そして地球最大の動物と言われています。

これだけでワクワクするのでしょ?




ところが表紙をめくると・・・・なんと1ページ目の背景は真っ黒です。

ちょっとイメージと違った。

なんだか暗い、静かな感じがします。


ただ、2ページ目以降は、綺麗な青い海が描かれています。
ほっ、安心しました。

口を大きく開いてオキアミをたくさん食べるシーンなど、とても臨場感よく描かれています。

また、2ページ見開きでシロナガスクジラを描かれるシーンもいくつかあり、大きさが強調されます。



物語の中盤に差し掛かる頃、このシロナガスクジラが"メス"で、おなかのなかに赤ちゃんがいることが明かされます。




北から南への移動など、赤ちゃんを産むまでの準備、そして産んだ後は、親子での長い旅が語られていきます。


途中、親が子にいろいろなことを教えるシーンや、シャチに襲われるシーン(無事です)など、読者もハラハラしながら、一緒に旅をしている気分になります。



さて、物語が後半に差し掛かると、突然、なんと、親子は別々の方角へと泳ぐことになります。

そして、今までは青ばかりだった紙面が、いきなり、最後の1ページで、最初と同じような黒い背景に切り替わります。

さらによく絵をみてみると、1ページの親クジラと同じ動作を、最後のページでは子クジラがしているようにもみえます。


まるで、バトンが親から子へ渡されたかのように。そして、またシロナガスクジラの旅はこれからもずっとずっと続いていくのです。



さて、冊子の「作者のことば」には以下のコメントがありました。


シロナガスクジラの暮らしや回遊については分かっていないことも多く、この絵本では、長年実際に観て研究してきたことも基に、考えられるシロナガスクジラの一つの旅を大胆に描いてみました。子どもたちと楽しんでいただけたら幸いです。



これを読む限りでは、シロナガスクジラの生態については分かっていないことが多いようです。

シロナガスクジラが一番大きい動物であることは、皆さん知っていることでしょう。
図鑑等でもよく載っています。

でも、出産・子育てなどといったことについては、まだ研究中というからだけではなく、なかなか知る機会すらもないと思われます。

このような絵本というストーリーの中で、そのような"動"のあるような(擬似)体験をすることができるのこそ、(絵)本の素晴らしさかと感じました。

貴重な体験でした。



シロナガスクジラに興味をもたれた、下の絵本も楽しめると思います。
シロナガスクジラだけがテーマではありませんが、地球や宇宙の大きさをイメージするよい入門になるかと思います。


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