QEDで有名な高田崇史さんの新シリーズ「古事記異聞」の第二弾が発売されていました。
前作の記事はこちら。
「なぜ日本神話には「櫛」が頻繁に登場するのか?」
大学の研究室で民俗学を学ぶ橘樹雅は、出雲での調査を終えようとしていた。ところが「出雲の本質は奥出雲にある」という担当教官のひと言で、日程を延長して奥出雲へ向かうことに。素戔嗚尊とは何者なのか?「櫛御気野命」「櫛名田比売」など神の名前に頻出する「櫛」の意味とは?同日、亀嵩近くで起きていた殺人事件。その本質を雅が見極めるとき、「櫛」の謎も明らかに。敗者の歴史が蘇る! (Amazon内容紹介より)
「ひな流し」
3月3日の「雛祭り」は「雛流し」。穢れを「形代」―身代わりとなってくれる雛人形に遷して流し、無病息災を願う行事?
「夷流し」という行為から始まった。
夷=鄙(ひな)
「サネモリ送り」や「虫送り」もこの変形。
「三鬼神」
「三尊神」は同時に「三鬼神」である。素戔嗚尊と月読神に加えて、天照大神も?
天照大神は日本を代表する怨霊神の一柱である。
「出雲風土記」の謎。
「出雲国風土記」には、「記紀」に見られるような、八岐大蛇退治という一大スペクタクルは書き記されていない。
どうして?
「出雲国風土記」にはもっと大きな謎が隠されている?
「須賀」と「八雲立つ」
八岐大蛇を退治した素戔嗚尊は、奇稲田姫を伴って新居を求め、須賀の地に移った。
「この地は、気分が清々しい。」
→須賀神社
「八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣作る その八重垣を」
これが本当に、奇稲田姫という新妻を新居に住まわせるための歌?
新妻のための新居に、妻を籠らせる?
これが本当に清々しい歌?
「稲」と「鋳」
奇稲田姫の「稲」は「鋳(いな)」で、田んぼの神様ではなく、鉄の神様。
京都の伏見稲荷も本当は「鋳」で鉄?
いざ、奥出雲を探索。
橘樹が1日で奥出雲をまわります。その足跡を紹介。。。
後半はかなりの駆け足です(笑)。
後半はかなりの駆け足です(笑)。
金子屋神社と金子屋神話民族館
主祭神:金山彦命と金山媛命
タタラ製鉄に従事していた人々の守護神
金伊賀多気神社
主祭神:素戔嗚尊と、その御子神である五十猛命。相殿には、大己貴命と仁徳天皇(大鷦鷯命おおさざき)と、なぜか素戔嗚と天照大神との間の御子神で「八王子」の一柱である熊野櫲樟日命。
どうして、仁徳天皇と熊野櫲樟日命?
鬼神神社
主祭神:素戔嗚尊と五十猛命。
素戔嗚尊と五十猛命、最初は一人だったとしても、いつしか個人の名称ではなく、その一族の神々をも含むようになったと考えてよい。
(これ、いつの時代の歴史にも適用できる解釈ですね。)
稲田神社
祭神:奇稲田姫(単独)
江戸時代の設立。
奥出雲たたらと刀剣館
「地団太を踏む」
「かわりばんこ」
「案山子」も「タタラ」に関連している?
素戔嗚尊が八岐大蛇を退治して、尾から取り出し、姉の天照大神に献上した「草薙の剣」(三種の神器)は「銅剣」であると言われている。
これはつまり、この地の先住民である出雲族(八岐大蛇)は銅器を使用していたこと。
これを大和朝廷の先兵(素戔嗚尊)が先進の優れた鉄の武器を用いて退治して、出雲族を平定したと考えるならば、これがタタラ製鉄の重要なポイントとなった。
なお、素戔嗚尊と父のイザナギが用いた十握剣(トツカノツルギ)は、「鉄剣」と言われている。
八岐大蛇退治は、素戔嗚尊による出雲族の退治、と考えられる。
しかし、出雲では、素戔嗚尊や奇稲田姫、そして五十猛命をあらゆる場所で丁寧に祭っている。
なぜ?
三澤神社
主祭神:阿遲須枳高日子根命(大国主命と宗像三女神の一柱・多紀理毘売命との間の御子)
八重垣神社
主祭神:奇稲田姫
木次神社
主祭神:大己貴命、武甕槌命
佐世神社
主祭神:素戔嗚尊と奇稲田姫
八本杉
素戔嗚尊は八岐大蛇を退治し、再び生き返って、人々に危害を与えないようにと、八つの頭を埋めて、その上に杉を植えた。これが八本杉の起源。
「我たのむ人を恵みの杉植えて、八重垣かこみ守る末の代」
しかし、実際にこの場に来てみると、八重垣が低い?なぜ?
斐伊神社
主祭神:素戔嗚尊、奇稲田姫、伊都之尾羽張命埼玉県の「氷川」神社は、「斐伊川」からきているに違いない。
「亀太夫神事」
前巻のおさらい。
出雲大社(大国主命)より熊野大社(素戔嗚尊)のほうが、圧倒的に上位にいるということを世間に知らしめるための神事。
それほど出雲では素戔嗚尊の力が強い。
「弁慶」
出雲で鍛冶をしていた叔父の長刀のエピソードがある。
弁慶は出雲にいられなくなり、京都へ旅立つ。
「斐伊」は、鉄の古語を表す「サヒ」からきている。
- 「サ」や「ヒ」のつく地名。
- また「鍛治」がもとになっている「カジ」。
- 「吹く」の「フク」。
- 水銀を表す青からきている「アオ」。
- 白銀の「シロ」。
- 鉄錆の「アカ」。
これらは全て「鉄」関係の地名。
「青丹よし 奈良の都は 咲く花の 匂うがごとく 今盛りなり」
靑・・・鉄
丹・・・水銀
咲く花(木花之佐久夜毘売)・・・鉄を鍛える際に飛び散る、特大の線香花火のような火花
鉄=>出雲や吉備
水銀=>伊勢
朝廷が、出雲や吉備、伊勢を手に入れた、という歌。
河邊神社
祭神:奇稲田姫
三屋神社
主祭神:大己貴命
八口神社
主祭神:素戔嗚尊
「八頭」=「谷(やと)」
難しい「漢字」とかも、よくもまあ電話で話を進めることができるものですね。関心です(笑)。
ちなみに、相変わらず、先生は不在です。いつ登場するのでしょうか??
八頭=「谷(やと)」
谷神=夜刀の神(得体の知れない蛇神)
- 金屋子神は女の人が嫌い
- 藤は好きだけど麻は嫌い
- 人間の死体が好き
1.金屋子神は女の人が嫌い。
女性は穢れているから?
金屋子神は製鉄神。
「金屋」「子」
「金屋子神」は女神、おそらく木花之佐久夜姫。
蹈鞴場の人々に女性を近寄らせないため。
女性は男性の仕事の妨げになる。
2.藤は好きだけど麻は嫌い。
建御名方神「藤の枝」鉄穴流しの際に使われた敷物。
3.人間の死体が好き。
岡山県の吉備津神社、鳴釜神事。
退治された鬼の首が埋められた、その上に釜が置かれる。
死体を火に投げ込むことによって、遺体に含まれているリン酸カルシウムが火の温度を調整する。
「オロチ」。
初花=人間の女性でいう初潮。製鉄の過程は女性の生理と同一視された。
炉―女神の名前にもあるように「ホト」、つまり火処(ほど)は女陰、子宮。
初花である「ノロ」が排出されることによって見事な粉宝―子宝が生まれる。
その際には悪露もでる、なぜならばそこは谷(やと)だから。
それらすべての過程を、オロチが見守った。
オロチがたくさんいる→「八」。
それだけではない。
末広がりでおめでたいと考えられているが、八は不吉。
末広がりならば、やがて分かれてバラバラになる。
また、「八」の大字の「捌」は、バラバラにするという意味。
「非」と「櫛」。
まだ解明できていない謎。- 素戔嗚尊と八岐大蛇。
- 奇稲田姫と櫛。
竹・・・忌まれていた。
構造が筒状になっているため、蹈鞴の吹子として使用されたから、朝廷が嫌悪した。
つつ→星
夕づつ=金星=素戔嗚尊
櫛は(不吉とみなされていた)竹でつくられている。
不吉な呪物。
斐伊川の「斐」と、「櫛」と関係?
「斐」・・・美しい、明らか、麗しい
「櫛」・・・クシ、梳る
ただし、「斐」の声符は上部の「非」で、こちらは「非常」の「非」。
この文字はこれだけで「梳き櫛」を表している。
櫛の歯が魚の骨のように左右に並んでいる形で、古くは「非余(ひよ)」と呼ばれた。
もちろん、「非」は「背く、悪い、あらず」そして「正常ならざるものの意」。
「櫛」=「非」
だから、素戔嗚尊、奇稲田姫、饒速日命、天照大神にも、全て「櫛」の文字があてられた。
全員が朝廷に背く悪神だったから。
大国主命のもとを訪れた「幸魂奇魂」。
幸魂は人々に幸せを与え、奇魂は人々に奇跡を与えるので「櫛」と示される。
「幸」は今でこそ良い意味しかなくなっているが、もともとは「手枷(てかせ)」のこと。
ゆえに、罪人を捕らえることを「執」といい、また報復刑を加えることを「報」という。
だから、「幸」は「辛」と似ている。
「辛」は入れ墨に使う針のことで、罪という意味も持っている。
でも幸魂の幸はまた違う意味?
「裂」で、裂かれた魂。
幸魂奇魂は、奈良の三輪山に住まわれた、大物主神、つまり、櫛玉饒速日命。
櫛は非であり、なおかつ竹は不吉で忌まれるものだった。
ゆえに協力な呪力を持っていた。まさに「忌み櫛」だった。
案山子。
蛇を象徴するものを身に着け、山の神として祀っている。
「カカシ」の名称自体が既に蛇を表している。
一本足は蛇であり、蹈鞴の象徴。
そして笠姿は素戔嗚尊につながる。どちらも製鉄。
続く。
素戔嗚尊が登場するのは、神話の時代。
しかし、蹈鞴は5世紀ー最近では3世紀かもと言われている。
時代が違うのでは?
→「記紀」と「魏志倭人伝」を読めば、分かる?
「素戔嗚尊」と「箸」。
「古事記」では「この時、箸その河より流れ下りき。」。
「魏志倭人伝」では「食欲には豆(へんとう)を用い手食す」。これは3世紀頃。
→当時、「箸」はまだ存在していなかった。
→素戔嗚尊が八岐大蛇を退治したのも、当然、(神代の時代ではなく)それ以降の年代となる。
卑弥呼の時代と重なるのではないか?
元出雲は、京都。
出雲風土記の謎、八雲立つの歌の意味。
感想。
前回から追っているテーマであった「櫛」に関して、作品中に「記紀載録神話に見える櫛の呪力について」という論文が登場します。
巻末の参考文献にも記載されていたので、調べてみたら、実際に発表されている論文のようで、内容を拝見することができます。
興味がありましたらぜひ一読を。
あと、同じく作品中でも登場していた吉野裕子さんの「蛇」も面白いです。
さて、「出雲」から「奥出雲」ときて、次回は「元出雲」のようです。
しかも、素戔嗚尊の例の歌「八雲立つ~」の真相が語られるようですので、期待です。
ところで、水野教授は、橘樹さんの記憶の中では頻繁に登場するのですが、今後、実際に登場する機会はあるのでしょうか?
そして、今回、引っ張りに引っ張った、例の学者さんは、一体、誰なのでしょうか?
「カンナ」や「神の時空」の後発シリーズと比較すると、「QED」に近い内容で、この新シリーズ「古事記異聞」は好きです。
こちらも長く続くシリーズとなることを期待しています。
おしまい。巻末の参考文献にも記載されていたので、調べてみたら、実際に発表されている論文のようで、内容を拝見することができます。
興味がありましたらぜひ一読を。
あと、同じく作品中でも登場していた吉野裕子さんの「蛇」も面白いです。
さて、「出雲」から「奥出雲」ときて、次回は「元出雲」のようです。
しかも、素戔嗚尊の例の歌「八雲立つ~」の真相が語られるようですので、期待です。
ところで、水野教授は、橘樹さんの記憶の中では頻繁に登場するのですが、今後、実際に登場する機会はあるのでしょうか?
そして、今回、引っ張りに引っ張った、例の学者さんは、一体、誰なのでしょうか?
「カンナ」や「神の時空」の後発シリーズと比較すると、「QED」に近い内容で、この新シリーズ「古事記異聞」は好きです。
こちらも長く続くシリーズとなることを期待しています。
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