横溝 英一 「チンチンでんしゃのはしるまち」の感想。内容充実な電車絵本。

電車関連のお気に入りの絵本です。

チンチンでんしゃのはしるまち (かがくのとも傑作集)
横溝 英一
出版社: 福音館書店 (2002/3/15)





かがくのとも傑作集です。

チンチン電車は、朝の市場の脇をすりぬけ、駅前からは通勤や通学の人を運びます。子どもたちやお年寄りも気軽に利用します。つねに人々の生活とともにあるチンチン電車。ゆっくり、もくもくと街を行き来するその姿は、自動車の普及に押されてずいぶん姿を消しましたが、今でも全国21の路線を現役で走っています。暮らしの潤滑油として、街に活気をもたらしながら、走り続けるチンチン電車。おとなにも子どもにも親しまれるチンチン電車を、長崎を舞台に描きました。
(Amazon商品紹介より)

絵本の中では紹介されていませんが、長崎が舞台となっています。私は長崎を訪れたことはありませんが、街の風景・雰囲気が詳細に描かれており、とても好感が持てる絵柄です。

まだ薄暗い早朝6時、車掌さんが発車点検するところから、物語がはじまります。

ここの目線が抜群で、一気に絵本の世間に入り込んでしまいます。

その後、長崎の市内を走る様子が紹介され、平行して、電車の仕組み、チンチン電車(路面電車)の仕組み等が紹介されていきます。


実は、この仕組みの紹介、目立ちませんが、この絵本の優れたポイントになります。

説明が多すぎず、くどすぎず、また絵本の利点を利用して、詳細に描かれた絵で説明されています。

例えば、電車が曲がる仕組みの紹介、子供は一読では理解ができないかもしれませんが、何度か読んでいくと、なんとなく分かったようになってくれると思います。



絵柄は今風ではないかもしれませんが、濃淡のある絵で、私は大好きです。そして、チンチン電車を通して、街の人々の生活が描かれていき、最後は次の一文で締められています。

「まちのひとたちも、よそからくるひとたちも、チンチンでんしゃのはしる、このまちがだいすきです。」


新幹線を扱ったような絵本もよいですが、このようなローカルの電車の絵本も、ほのぼのとしていて好きです。



ところで、発売は2002年とありますが、実は1992年の再販です。

実は、同じ作者の「はこねのやまの とざんでんしゃ」(1993年発売)も、再販して欲しいのですが、こちらは再販されていないようです。




再販を望む一読者として、期待を込めて記事を書かせていただきました。

横溝 英一さんの絵本は何冊か持っていますが、この絵本が一番好きです。他の絵本も機会をみて紹介させていただきたいと思っています。


0 件のコメント :

コメントを投稿