待ちに待った、新作です。
試験に出ないQED異聞 高田崇史短編集 (講談社ノベルス
短編だろうと、長編だろうと、新作です!
しかし!
しかし!
読み進めてすぐに感じる違和感!
これ、読んだことあるぞ!?
というわけで、なんと、過去発表作品の寄せ集めの、短編集ですね。。。
ちょっと残念です。
とても残念です。
まあ、書下ろしの新作もあるので、ご安心を。
しかも、この書下ろし、「QED」と「古事記異聞」という異なるシリーズの主人公たちが交差する作品です。
追いかける謎は、これ。
松尾芭蕉は、どうして自分の「「骸(から)は木曽塚に送るべし」と遺言したのか?
芭蕉のような俳人と、粗野で無教養で乱暴者(と世間で言われている)木曾義仲の接点は?
ところで、「あとがき」にも作者が書かれていますが、今回の短編集の目次がちょっと変わっているようです。
そうそう、この作者、目次でよく遊びますよね?(笑)
舞台の季節が2月からはじまり、春、夏、秋、冬、そして再び春、という並びになっています。
作者曰く、「古今和歌集」や「新古今和歌集」方式ということです。
さて、肝心の「木曽殿最期・・・」ですが、面白かったです。
やっぱり、「QED」の桑原祟が登場すると、ウンチクを語る人間という役割を担うことができるのでいいですね。
「古事記異聞」には、まだここまでストーリーにずっと登場してウンチクを語るようなキャラはまだ登場していませんからね。
さてさて、そんなわけで、「古事記異聞」主人公の橘樹雅が大学一年生(19歳)の時のお話です。
まだ大学院には進む前です。もちろん、民族研究室に入る前。
作者のあとがきを読むと、2つのシリーズのキャラを登場させるのに、設定をだいぶ苦労されたようですね(笑)
あとは、気になったキーワードだけ。
・住吉、日吉
墨坂神・・・正体不明のオロチ
また墨(炭)坂=蹈鞴製鉄で木炭を投入する係の人間の名前。
住栄→住吉
「炭」を「火」に置き換えると、火栄→ひえい→日吉。
・「木曽の情 雪や生えぬく春の草」芭蕉
・「彼は遂に情の人也」芥川龍之介
・「平家物語」
幾度も改訂・加筆をされていて、13世紀の初めに六巻本となり、
更に増補が重ねなれて12巻本となった。
「3部に分けて読むべき」
第一部:平清盛を中心にした1巻から5巻
第二部:木曾義仲を主人公とする6巻から8巻
第三部:源義経が活躍する9巻から12巻
→義仲は、清盛や義経と並ぶほどの英雄だった?
・斎藤別当実盛は手塚太郎光盛に討ち取られる。
「むざんやな かぶとの下の きりぎりす」芭蕉
ここら辺に興味を持たれた方は、火の鳥の「乱世編」をぜひ読んでみて下さい。
火の鳥 7 乱世編(上)
火の鳥 8 乱世編(下)
・義仲の愛刀、微塵丸は「日本三大仇討ち」のひとつ、曽我十郎・五郎の際に十郎が用いたことでも有名。
・義仲寺、芭蕉の墓石の形。三角形。
・巴御前
巴=とぐろを巻いた蛇
弁財天
芭蕉の「芭」には巴。あこがれ?
三角形=蛇の印
日本三大弁財天のひとつ、江の島神社の神紋は三鱗。
最後に、どうやら次回、またはその先の、新作は「源平合戦」に関する小説みたいですね。
珍しい時代ですので、こちらは期待できそうです!
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